“体罰等によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に~”現行児童福祉法が示す子育てのポイントを解説!

お悩み 児童相談所

昨日スーパーに買い物に行ったら、ぐぜって癇癪を起している男の子。
母親は乳児を抱いていましたが少し荒げた声をし、その子の頭をパシッと叩いてしまった。
子どもは泣き止むどころか、泣き声を強め…

令和元年6月に児童福祉法が改正され、しつけにおいて体罰を加えてはならないことが法定化されました。
令和2年4月から施行されています。

今回はこの改正に伴い検討会が作成したパンフレットをもとに解説します。

今回お伝えしたいことを先にいうと

体罰をしてはいけません。

しつけという理由は認められません。

ということが、法律で明確に決められました。

ということです。
これまでは子育ての中でときに手を挙げてしまうのは当然のこと、言うことをきかないときには必要なこともある、
といった見方が一部では当然のようにありました。

しかし、こういった考え方は法的に明確に否定されるようになったといえます。

じゃあ子どもが聞き分けが悪いときには親はどうしたらいいのか。

子どもと関わる具体的な工夫はたくさんありますが、一番大事なことは一人で頑張らないこと。

ここが大切です。

体罰による子育てをしてしまう保護者を罰するのではなく社会みんなで子育てをしていきましょう、という国民の意識改革を図る主旨のようです。

それでは体罰によらない子育てについて解説していきます。

しつけと体罰

しつけとは

しつけとは、子どもの人格や才能などを伸ばし、社会において自律した生活を送れるようにすることな
どの目的から、子どもをサポートして社会性を育む行為です。

つまり、しつけとは子どものために行う行為です。
子どもが社会生活を円滑に行うことができるように、私たち大人が子どもをサポートすること自体がしつけと定義されているのです。

なかにはしつけというと“大人の言うこときく”ようにすることだと思っている方はいませんか。
いわゆる“ききわけの良い子”に育て上げることに必死になっていませんか。

このような考え方は子どものためではなく、大人の立場に立った考え方です。
従順になってくれると大人は楽に感じるでしょう。
一見、素直に育っていると見えるかもしれません。

しかし、このような場合本人の自律性は育っていないことが多いです。

“言われたからする”
“怒られるからする”

これでは目的が違い、子どもの主体性が抑圧された結果からは将来的に社会における自律にはつながりません

まず、ここの認識に立つことが大切です。

体罰とは

以下は全て体罰にあたる行為だと示されています。

●言葉で3回注意したけど言うことを聞かないので、頬を叩いた
●大切なものにいたずらをしたので、長時間正座をさせた
●友達を殴ってケガをさせたので、同じように子どもを殴った
●他人のものを取ったので、お尻を叩いた
●宿題をしなかったので、夕ご飯を与えなかった
●掃除をしないので、雑巾を顔に押しつけた

「同じ痛みを与えることで、痛みをしってほしい」とか「手を挙げるわけではないけど悪いことをしたら罰を与えよう」
といったことを考える保護者も少なくないと思います。

けしてこの考え自体が問題ではないと私は思います。

しかし、

たとえしつけのためだと親が思っても、身体に、何らかの苦痛を引き起こし、または不快感を
意図的にもたらす行為(罰)である場合は、どんなに軽いものであっても体罰に該当し法律で禁止されます。

とあるように、実際に子どもに苦痛を与える方法をとってしまうと体罰をしていると判断されることになります。

簡単にいうと、体罰はどんな理由であれ禁止

そもそもしつけにはならない

ということが法律に示されたようです。

 

体罰によらない子育てのポイント

詳しくはパンフレットをみて下さい。
7つのポイント具体的な工夫の例で声掛けの例もあります。

要点だけ簡単に抜き出すとしたら、なぜ子どもがスムーズにできないのかに目を向け一緒に方法を考えていく、ということが基本だといえるでしょう。

冒頭で申し上げた、かんしゃくを起こした子どもへの対応をどうするか、ということを考えてみたいと思います。

子どもの気持ちや考えに耳を傾けましょう

「言うことを聞かない」にもいろいろあります

 

まずはなぜかんしゃくをおこしているのかを想定します。
欲しいものが買ってもらえなかったか、

帰りたくないのか、

状況判断ができずにパニックになってしまったか…

わからないときには、本人に聞いてみましょう。

 

注意の方向を変えたり、子どものやる気に働きかけてみましょう

肯定文でわかりやすく、時には一緒に、お手本に

良いこと、できていることを具体的に褒めましょう

 

本人の気持ちを受け止めることができたら、落ち着いた声で対応を一緒に検討してみましょう。

「ごめんね。これから帰らないと間に合わないから急いでいるんだけど一緒に帰ってくれる?いやかな?」

「今日はもうお金は使えないんだけど、あなたがあれが欲しいってことはわかったからまた今度相談しようね」

「今から〇〇に行くけど行きたくない?」

子育てのポイントを参考にして私が思いつく言葉かけだとこのような感じでしょうか。

あくまで本人の好き勝手聞いてあげるということではなく、本人が自分の力で諦めたり協力してくれたりするような働きかけをイメージしました。

 

子育ては親の務めという意識からの脱却

 

子育てのポイントまでしか見ないと、場合によっては子育てに悩む親は自分たちが責められていると感じることがあるかもしれません。
実際に子育ての渦中にある家庭にとっては、そんな正論を突き付けられたところで「そんなのわかっているよ」と私なら思うと思います。

しかし、このパンフレットにまとめられた内容を最後まで目を通すと、この法改正の一番の目的が分かります。
それは、虐待や体罰の問題を家庭の問題に留めるのではなく、国民一人一人の意識を変えることで子育て家庭を社会全体で支えるということです。

先ほどの私が目撃した件ですが、通りすがりの私はどうしたか。

私はちょうど横を通り過ぎたのでさりげない程度に母親へ軽く「大変ですね」と声かけて立ち去りました。

もちろん実際に手を挙げることは体罰だと法的に明言されているので、程度次第では通告の必要性もあります。
虐待は疑いの時点で通告することが国民の役割とされています。

ただし、今回のような場面は誰しもが日々目にしていると思います。
体罰は禁止だけれども、今回は程度もさほど深刻ではなかったこともあり今回の改正の目的に即して母親を労う行動をとりました。

保護者が孤立せず、子どもが育ちやすい社会であるために、体罰等を容認しない機運を醸成するとともに、
寛容さを持って子どもの成長に温かいまなざしを向け、社会全体で子育てを行っていく必要があります

このことを国民一人一人の意識に定着させ、子育てについて気軽に周囲に相談できるような社会になるとよいですね。

 

相談窓口

今回述べたように、体罰を法的に禁止されることになりましたが、だからといって保護者を罰することを目的としていません。

子育てはけして楽ではありません。

周囲から見るよりも負担は大きいものです。

だからこそ身近に声をかけてくれる存在が必要です。

それは家族や親戚、友人や近所の方など普段から頼りになる人が一番心強いと思います。

しかし、そのような存在がいてもいなくても、なんとなく

「子育てってこれでいいのかな?」

「イライラすることが増えた」

「細かいこと考えるのが億劫」

とかいう気持ちを抱えて子育てしているときには、他の人がどうしているのか聞いてみて下さい。

意外と相談窓口を活用している人も多いですよ。

児童相談所

こどもに関するあらゆる相談に応じる全国共通の相談機関です。

#189(全国共通)

詳しくはこちら:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/gyakutai/

 

市町村の子育て相談窓口や保健センター

保健師をはじめ様々な専門家が地域には必ずいます。

行政窓口であれば相談は何回でも無料です。お気軽にお役立てください。