現任者向けの公認心理師受験対策/自分の課題整理の方法と職業別に試験対策をご紹介します

公認心理師

さて、第4回公認心理師試験の期日が迫ってきました。

これまで受験対策について3つの記事を書いてきましたが、今回はGルートで受験をする現任者が時短学習するにあたって、自分自身の課題を整理する方法と、大枠での職業別に対策をご紹介したいと思います。

どの分野から受験をするかで明らかに得意分野が異なります。
医療機関や公的な機関に勤めるカウンセラーならばそもそも試験対策はほとんど必要ありません。
逆に全く違う分野から受験をする方はそれなりの知識が必要です。

日ごろから様々な方と連携させていただいていますが、公認心理師の試験に落ちる方からは根本的に理解できていない部分を感じます。

この記事に出会った方は今一度立ち止まって、課題を整理してみましょう。

結論から先にいうと、事例問題をどれだけ正解できるかがひとつのポイントです。

ちなみに私は最も合格率が低かった第2回公認心理師試験で一発合格し、その他の回も解いてみたところ全て合格点でした。

それは事例問題で点数を稼いだからに他なりません。

現任者の職業について

私が現任者講習を受けた際のグループには特別支援学校の教員キャリアコンサルタントがいました。
心理資格として有名な臨床心理士が近くにはいなかったことは誤算の範囲でしたが、全体的に教員や相談員等が多く含まれていた印象です。

現任者講習では事例を多く取り扱うので、グループ内で得意分野がわかれました。

特別支援学校の教員はやる気に満ちた20代女性で、児童に関する分野では積極的に発言がありました。
障害児の支援者としては、多くの知識を得ています。
しかし、メンタルヘルスについての知識や実際のカウンセリングの手法についてははっきりと「わからない」と話していました。

キャリアコンサルタントの方は様々な職場を経験した実績があり、地方自治体の女性相談員(DV被害や離婚相談等を専門とする)の経験もあられました。
そのためメンタルヘルスや虐待、様々な関係機関との連携についても幅広く知識があり、キャリアコンサルタントとしては国家資格の受験経験もあります。
グループ討議にも慣れた印象でした。
あえていうとすれば、明確にカウンセラーとして勤務した経験があるわけではないため、やはり心理的な見立てやアプローチについては詳しくなかったように思います。
ただ、この方は無事に合格してらっしゃるだろうと勝手に信じています。

また、身近な人の中で受験した人の内、一回で合格した人と何度も落ちている人がいます。

主観で申し訳ないのですが、周囲を見渡した時に、臨床心理士や医療機関、行政等でカウンセラーとして勤務する人はほとんどが一発で合格しています。
また、社会福祉士や精神保健福祉士等の国家資格で相談員をしている人の多くも合格しています。

一方で教員や研究員、コンサル等企業内での勤務経験が中心の人にとっては少々難しい試験内容だったように思います。

このあたりについて自分自身を分析しておくことは、時短学習につながりますのでこの記事に出会った方はぜひ一度立ち止まって以下を参考にされてください。

自分の課題を知る方法

以前の記事内でもとりあげていますが、現任者が最短で学習する方法は以下だと思っています。

  • 過去問学習
  • 動画学習
  • 模擬試験

そして今回お伝えしたいのは最初にある過去問学習による自己分析

自分の課題整理を行うことで、どの分野を集中的に学習すればよいかを知ることができます。

そして、そのことが結果的に時短学習につながるのです。

 

まずは第1回試験を解いてみて下さい。

試験問題はこちらから

約8割が合格した試験なので、ここで合格点を取れていない人は、基本的な知識が足りませんのでこの先読み進めることは諦めて予備校や参考書等で必死に勉強してください。

合格点だった人は、事例問題を分析してみましょう。

ポイントとしては自分の正解した範囲と間違った範囲を知ることです。

参考になるのがこちら

河合塾KALSが試験の2日後に出した第1回公認心理師国家試験分析速報です。

最後に巻末資料として各設問の分析があります。
ここで自分が間違った問題の難易度を見てみて下さい。

例えば

問69

40 歳の男性 A、小学校教師。A は「授業がうまくできないし、クラ
スの生徒たちとコミュニケーションが取れない。保護者からもクレーム
を受けている。そのため、最近は食欲もなくよく眠れていない。疲れが
取れず、やる気が出ない」とスクールカウンセラーに相談した。
スクールカウンセラーの対応として、まず行うべきものを1つ選べ。

① 医療機関への受診を勧める。
② 管理職と相談し、A の業務の調整をする。
③ Aの個人的な問題に対して定期的に面談する。
④ A から授業の状況や身体症状について詳しく聴く。
⑤ A の代わりに、保護者からのクレームに対応する

こちらの正解は4
かなり基本的な事例問題のため説明も不要ですが、こういったものが難易度Cにあたります。
これらを落としている場合は基礎から学びなおしましょう。

こちらも見てみましょう。

問76

19 歳の女性 A。A は高校卒業後に事務職のパート勤務を始めた。
もともと言語表現は苦手で他者とのコミュニケーションに困難を抱えて
いた。就職当初から、仕事も遅くミスも多かったことから頻繁に上司に
叱責され、常に緊張を強いられるようになった。疲れがたまり不眠が出
現し、会社を休みがちになった。家事はこなせており、将来は一人暮ら
しをしたいと思っているという。WAIS-Ⅲを実施した結果、全検査 IQ
77、言語性 IQ 73、動作性 IQ 86。群指数は言語理解 82、知覚統合 70、
作動記憶 62、処理速度 72 であった。この検査結果の解釈として、正しいものを1つ選べ。

① 視覚的な短期記憶が苦手である。
② 聴覚的な短期記憶が苦手である。
③ 全検査 IQ は「平均の下」である。
④ 下位検査項目の値がないため判断できない。

こちら、正解は2です。

日頃より検査者としてWAIS‐Ⅲを実施している人には簡単かもしれませんが実際検査に携わっていないとわからない場合もありますね。
こちらの難易度はB

難易度Cがほぼ正解だった人はこういった難易度B問題を積極的に学習してよいでしょう。

難易度Aの事例問題は1つのみなので最後に紹介しますね。

問65

50 歳の男性。年前に筋萎縮性側索硬化症<ALS>と診断された。
誤嚥性肺炎の既往がある。年前に嚥下困難となり胃瘻いろう造設術
を受け、現在は配偶者の介護により在宅で療養している。四肢の筋萎縮
と球麻痺があり、寝たきりで発声は不可能な状態である。在宅医療チー
ムの一員として心理的支援を依頼された。
この患者の支援にあたって、念頭におくべき症状として、最も適切な
ものを1つ選べ。

① 褥瘡
② 認知症
③ 感覚障害
④ 呼吸筋障害
⑤ 眼球運動障害

こちらの正解は4
こちらはどちらかというと医療従事者に必要な知識のため難易度Aになっていると思われます。
こういった難易度Aにあたる問題は学習しない方向で時短学習を図りましょう。

ちなみにわたしは3問とも正解でした。

自分が難易度Cで落とした範囲があるとしたな何よりも優先して学習しましょう。
そして、次に難易度Bの範囲について学習を深めると試験対策としてはバッチリです。

あとは学習を進めつつ第2回、第3回試験でどの程度学習できているか把握していきましょう。
すでに過去問を解いてしまった場合には模擬試験で能力評価をしてみて下さい。

学習を進めるにはYOUTUBEが一番です。
該当の説明をしている動画を探しましょう。

おすすめはプロロゴスの動画です。

職業別試験対策

ここは主観が含まれますが、知り合いの受験者の様子を踏まえて、ざっと職業別に試験対策をご紹介します。
基本的には前項でご紹介した自分自身の課題整理に見合った範囲を学習してくださいね。

教員

たとえ特別支援学校の教員をされているとしても、教員が行う教育相談とと心理士のカウンセリングは専門性が大きく違います。
教員から学校心理士になった場合でも全般的に一から学ぶ姿勢で学習したほうがよさそうです。
プループリント5%以上出題傾向が示されている分野は勉強必須です。

 

研究員

事例問題に特化した公認心理師試験は臨床経験が少ない場合は難しい内容かと思います。
知識問題に絶対的な自信がある場合を除いて、“事例に慣れる”ことが重要かと思います。
事例は“考え方”で解ける問題が多数あります。
選択問題のキーワードの中にヒントが隠れていることがあるので、模試を積極的に受験して事例問題に慣れましょう。
模擬問題でも事例問題を積極的に学習しましょう。

 

医療従事者

医師や看護師、理学療法士や言語療法士等の資格をベースに受験を考えている場合はどれだけメンタルヘルスに関する知識があるかに影響されるかと思います。
精神科や心療内科以外の医療機関で勤務している場合はまずはメンタルヘルスの知識の獲得が必要かと思います。
精神疾患等に詳しい場合はその中で心理士の役割を意識して学習しましょう。

 

相談員(ソーシャルワーカー)

社会福祉士や精神保健福祉士をすでに取得している人はわりと重なる分野が多いためさほど苦労しないと思います。
医療機関や行政機関であたらく相談員は他の職種の役割も日ごろから理解しているため、カウンセラーの専門性にも理解があるかと思います。
あえていうなら、補足として心理検査や心理学の歴史を学ぶとよいでしょう。

 

さいごに

今回は第4回公認心理師試験を前に、自分自身の課題整理をして時短学習をする試験対策についてご紹介いたしました。
この記事を読んでくれた皆様が無事に合格できますように!